元マニラ住人の青年のブログ

頭良くないし機転も利かない。でも夢の大きさは誰にも負けない。

「安倍談話」の慰安婦問題を考える

Pusan -Busan, Korea under Japan rule

2月1日、安倍首相は政権の新たな首相談話を検討していることを明らかにした。ここには慰安婦問題についての安倍政権歴史認識が反映される可能性がある。

昨年10月、安倍氏は従軍慰安婦問題を認めお詫びと反省を示した「河野談話(1993年発表)」を見直す考えを示しており、今回の新談話ではこの点について言及される可能性があり、論争の的になることが十分予想されている。(先日の記者会見では明言を避けている。)

第1次安倍政権時には問題を提起しアメリカ側から非難を受け、更に1月29日にはアメリカのニューヨーク州上院が慰安婦問題を「人道に対する罪」として非難決議を出した。もし談話がこの決議に挑戦する内容となれば、国際的に「右寄り」批判をされている安倍政権は孤立化することが予想される。

また韓国の憲法裁判所は昨年8月30日、日本政府が慰安婦問題の賠償問題についての論争の解決しないのは違憲であるとする判決を出しており、国際人権団体のAmnesty International もこの問題を提起している。

このように国際的に大きな問題となっている慰安婦問題を日本政府が今までのように放置していけば、同盟国であるアメリカから距離を置かれる可能性は十分にある。そのため今回の談話で問題を取り上げるのは、日本政府が問題を誤魔化そうとしていないことを国際社会に示す機会にもなる。

ところで安倍政権はどのように慰安婦問題を取り上げるのだろうか。詳細は明らかではないが、河野談話を見直すと安倍氏が発言している以上、問題となっている「強制性(慰安婦は強制的に連れて来られたとする主張)」は否定される可能性がある。

確かに国内では「従軍慰安婦は強制連行されてわけではなく、自らそうすることを選択した。だから日本政府は責任追及される筋合いはない」とする議論もある。保守層が特にこの説を支持していることが多いのだが、ネットでは一部の世論となりつつもある。

しかしながら河野談話ではこの「強制性」が肯定されており、以下のように記述がなされている。

 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。

このように、国際社会の見解と一致した談話を政府は発表していたわけであるが、これを覆す内容を発表するとなれば国内のみならず国境を超えて議論を呼ぶことになるだろう。もし新談話が強制性を認めないのならば、きちんと立証をし世界にそれを示し、ステークホルダーである韓国が十分納得できるような内容を提示しなければならない。

もし国内の保守層に迎合するために談話を発表するのならば、それは決して許されないことだ。日本政府としての歴史認識を正す目的での談話に期待したい。つまり政権が支持集めのために談話を発表するようなことがあってはならないのだ。

韓国のみならず国際社会がこの問題を注視している以上、「昔の出来事」ではなく今もなお進行中の問題として慰安婦問題を見つめ、国際社会が納得するような形で議論を進めていく必要がある。

そのために日本政府は強制性の如何を議論する前に、まずは北朝鮮・韓国政府に謝罪・賠償金支払いを行い、被害者・遺族感情をこれ以上刺激しないことに努めてはどうだろうか。