TIME before 55

頭良くないし機転も利かない。でも夢の大きさは誰にも負けない。

復興特区の行く末

多くの大企業が東北地方への進出を決め、被災地では多くの雇用が生まれようとしています。メディアでは楽観論が目立ちますが、果たしてこれは必ずしも正しいのか。ここで考えてみようと思います。

震災後は「働きたくても仕事がない」でしたが、現在は「仕事があってもできない」状況です。なぜこのような事態が起こるかというと、背景には若者の大量流出があります。津波被曝を恐れ、多くの若者が関東、あるいは西へと向かい、現地の産業を支えていた担い手が次々と東北の地を離れているのです。

しかし、大企業が東北に進出したとなれば、安定収入を求める若者は再び東北に戻るかもしれませんし、東北以外からも多くの労働力が集まり、お金を落としていくでしょう。

そうはいっても、この「復興ムード」が一段落したらどうなるか。考えて見るだけでも恐ろしいことですが、大企業の中には東北での操業を止めて、拠点を移し始める企業も出います。現に、電力不足や風評被害を恐れて、企業は海外移転を進めています。 →http://t.co/RUdJMUi5

そうでなくても復興の遅れによって地場産業は打撃を受けているのに、大企業が市場を占めれば、地場産業の衰退に拍車がかかってしまいます。

そして大企業が撤退してしまえば「特色のない街」だけが残り、孤立してしまう結果になり、雇用が生まれるばかりか、シャッター街だけがそこに残される結果になります。震災で地場産業がなくなりつつあるだけに、大企業の進出は同時に危険性も孕んでいるのです。

大企業が進出せず、東北が「色鮮やか」であるうちに、なんとか手を打たなければならない。大企業が進出してからでは遅い。だからといって、大企業の進出を中止したとしても、経済が回るようになるとは考えにくい。トレードオフの関係にあるのです。

そこで、この短い期間に知恵を出しあって何とかして政府に訴えかけていかなければならない。その必要性を強く感じています。

東北に復興特区を作って、他地方の企業が進出しやすい土壌を作ったのは良いが、それが行き過ぎると多様性を失わせる結果になりはしないか。これは途上国への「文化輸出」の問題と似ています。

マクドナルド、スターバックス、ウォルマートが発展途上国の産業を徐々に破壊していった構造です。イオンが地方商店街のシャッターを下ろしたのと似ていますね。

資本輸出は確かに資本主義経済、自由経済である以上は「勝手にやって良いこと」ではあるけれど、それが長期的な目で見て現地の人々に恩恵を与えるのか。そこが疑問です。

しかしながら私企業である以上、利潤の追求が彼らの目的ですから、現地の産業よりも、効率化・合理化された彼らの製品・サービスを次々に販売していきます。

値段の安い先進国の合理的商品を目にした現地の人々は、当然家計にやさしいそれらの商品に飛びつきます。

もちろん、ここでは現地の人々を責めているわけではありません。利潤の追求とモラルのバランスをどのように保つのかが重要なのです。これからの時代では法令遵守と同時に「道徳順守」が求められていくべきでしょう。