TIME before 55

頭良くないし機転も利かない。でも夢の大きさは誰にも負けない。

日本の戦後史は何だったのか - 孫崎享『戦後史の正体』


領土問題に関する論評で話題の孫崎享氏の書いた『戦後史の正体』を読みました。

この本は外務省の国際情報局長であった孫崎享(まごさき・うける)氏が、自身の経験も交えながら日本の戦後の政治史を読み解いていくものです。この本は日本の政治を描いているわけですが、影響を与える存在としてアメリカ政府の存在も同時に描かれています。


日本人は「アメリカは同盟国だから守ってくれる」と思っている人が多いようですが、この本はその定説を覆し、「アメリカの対日戦略は変わり続ける」と説きます。そして日本の政治家がアメリカ政府の都合によって登場と失脚を繰り返してきた事実を指摘し、日本の外交政策によってどのように政治が左右されてきたのかを詳述しています。

そして本を読み始めて私が最初に衝撃を受けた文が次のものです。
 さて、日本が終戦記念日を八月十五日とし、九月二日としていないことに、なにか意味があるのでしょうか。
 あります。それは九月二日を記念日にした場合、けっして「終戦」記念日とはならないからです。明らかに「降伏」した日なわけですから。

私はこの文を読み、どうして今までこの事実に気が付かなかったのか、自分が恥ずかしくなりました。日本人は終戦をしたとは認識していながら、降伏の認識が薄いのはここに原因があったわけです。さらにここではこのように文を結んでいます。
そう、日本は八月一五日を戦争の終わりとして位置づけることで、「降伏」というきびしい現実から目をそらし続けているのです。

ここまで来ると日本人の戦後は何だったのかと考えてしまいます。私達日本人は戦争を終わらせただけでなく、戦争に敗けたのです。歴史的事実としては認識していても、第二次大戦といえば過ぎ去った過去のようにしか捉えられない私のような若い世代にとって、これは衝撃的な一文です。

こういった衝撃的な文に続き、『戦後史の正体』では歴代の総理大臣の政策、そしてその末路までを描くことでその人物が日米の政治にどういった影響を与えたのかを分析していきます。そしてアメリカ政府の画策による政治家の失脚、CIAによる対日工作などスパイ小説さながらのことが現実に起こった事件として書かれています。

どれも複雑で必ずしも平易な内容ではありませんが、このシリーズ「戦後再発見」双書が高校生でも読めるように書かれているため、分かりやすく読み進めることができます。教科書には書かれていない、裏の日米の政治・外交史を知りたい方は是非読んでみては如何でしょうか?

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)