元マニラ住人の青年のブログ

頭良くないし機転も利かない。でも夢の大きさは誰にも負けない。

PC無料配布は教育に効果がなかった?

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これまでGoogleIntelが行なってきた途上国への教育政策である「PC無料配布」の効果に疑問が投げかけられる研究結果が出た。何と、子どもがPCを持っているか持っていないかで学力に大きな差が無いとのこと。


「実験はパソコンの所有と利用時間には多大な影響を与えたが、学業成績、標準テストの得点、単位取得、出席状況、懲罰等、さまざまな教育成果に関する影響の証拠はみられなかった」と最新結果を説明した。これはインターネットのない子供たちが試験で著しく不利であるというこれまでの証拠に反する。

そうなると、これまで指摘がなされてきたことが大きく覆されることになり、今後のIT企業のCSR事業にも大きく影響が出ることになりそうだ。PCを与えれば子どもが勝手に自ら多くのをインターネットから学び取るだろうという考えは企業側のエゴだったのだろうか?

特に学業成績の点で影響が見られなかったことは特筆すべき事だろう。学校で習って不明だった点をインターネットで解決するということが考えられるが、それが実際には起こらなかったことだ。

小学校に十分な図書館や勉強を丁寧に見てくれる教員がいれば、生徒の学力改善には繋がるため、結局インターネットはそれ程訳には立たなかったということかもしれない。そしてそれが生徒自身のモチベーションに影響して出席率の改善にも繋がらなかったということだ。

そしてもうひとついえるのはPCの導入は友達を増やすわけではないということだ。出席率は勉強へのモチベーションによって動いている側面もあるだろうが、それに以上に確かに知識を増やすには最良の手段ではある。

しかし実際には生徒間での付き合いが一番大きな影響を持つ。一緒に時間を過ごす友達がいるか、いじめられていないか等だ。だからいくらPCを配った所で生徒間の軋轢を解消することはできないし、それが彼らの出席に導くとは考えられないのだ。

パソコンが利用できないために貧しい生徒が不利になるという(理にかなった)不安に基づき、カリフォルニア州では州中央部の15校に通う小6~高1生1123名にパソコンを無料提供した。重要なのは、統計に強い管理者が無作為に生徒の半数を対象に選んだことで、このためパソコンを受け取った子供が普通以上に高い意識を持っていたことを心配する必要はない。

懸念の通り、49%の子供たちがインターネットからファイルをダウンロードする方法も知らなかった。当然ながら、パソコンの利用時間が増えるにつれ、彼らが教育的とはいえないゲームに触れる時間も長くなった。「自宅にパソコンがあると、学校の勉強のためのパソコン利用時間が増えると同時に、ゲームやソーシャルネットワークその他のエンターテイメントに費やす時間も増えるので、両者は相殺されるかもしれない」と研究者らは推測する。

元々PCは知識を得る以前にハードルがそれなりに高い。子どもにはわかりずらい用語が沢山あるし、すぐに扱い方を覚える人はそうそういないだろう。(例えば「クエリ」「ブラウザ」という言葉が何を示すのか最初から分かる子どもは勘の良い子ども出ない限りはいまい。)

これは被災地の事例でも実際にあったことだが、仮設住宅iPadを配布して住民に情報の周知を図ったが、住民自身が使い方をわからずに有効活用されなかったという事例だ。

これまでのIT企業の政策がどのように行われてきたかにもよるが、ただ機械を配るだけで何もしないようでは受け取る側は何をすればいいのか分からない。これは当たり前だ。

支援者という立場で一方的に押し付けるのではなく、利用者目線に立った事業展開をしていくべきなのは間違いない。そうでなければそうした取組は結局企業の宣伝活動だけで終わってしまうからだ。

もちろん、パソコンは教育以外の効果ももたらす可能性がある。基礎的なコンピューター・リテラシーは知識経済に間違いなく役立つ。しかし本当の問題は、貧困な子供の多くが情報技術関連の職につく機会すら持てないことであり、貧富格差は広がる一方だ。SATスコアの格差は40%に拡大し、大学卒業に関しては1980年代以来50%に急増した。

IT産業は貧困の実態を軽視していたといことだろうか?同じ国内に住んでいてもどのような将来が彼等を待ち受けているのか、長期スパンで精査をしていく必要があるだろう。


<<参照>>
TechCrunch Japan "研究結果:パソコン無料配布で教育の貧富格差は埋められない"